2012年05月20日

エルシャダイで現代パロ/イールシ



#ブラック・カーネーション2



「手伝ってくれるのはうれしいが、トゲに気を付けてくれよ」

「大丈夫だ、問題ない」

シャツの袖を肘までまくり、腰に黒いエプロンを巻いたルシフェルがシンクで野菜を洗っている。
ルシフェルの数歩背後では、色違いのエプロンをしたイーノックが、キッチンバサミを右手に野球のボールより一回り大きい淡い紫色したアーティーチョークのガクを1枚、1枚慎重に切り取っていた。


今日は久しぶりの休日。
お互い職種も勤務時間も違っているので、二人そろってのオフは月に1度あるか、まったくないか。
そのくらい貴重な土日の休み。

せっかくの休みなんだから、1泊で旅行にいこうか、それとも日帰りでドライブ、映画を見てショッピング、夜はベイエリアでクルージングもいいかも。
なんて、金曜日の夜にベットの中で互いの肌を重ね合わせて、ピロートークの延長に話を咲かせていた。
アイデアを出すのはルシフェルで、決めるのはイーノック。
なかなか予定は決まらず、迷った末にイーノックは実は・・・と小声でぼそぼそ言い出した。

――― 私はあなたを1日中、独り占めしていたい。いやその・・・エッチだけがしたいんじゃなくて、一緒にご飯作って、食材とか日用品とか買い物に出かけたり、スパークリングワイン飲みながら録画した映画見たり、・・・そんな何でもない普通でいいんだ。駄目かな?

大好きな相手と一緒に過ごす。一番大事な事だったから、ルシフェルはくすくす笑いながらいいよと答えた。仕事が詰まって忙しいと、互いに帰宅時間が異なり同じウチに居ながらすれ違いで、メールでしか会話をしない日がある。一緒に過ごしたいと感じているのはルシフェルも同じ気持ちなのだった。
腕枕をされて寄り添っていたイーノックの胸元から起き上がり、がっしりした褐色の逞しい腰を跨いで馬乗りになる。

――― ルシフェル?

――― そうと決まったら、明日は寝坊してもいいな。ふふ、続きをしようか。


それが12時間前の話。
平日の3倍の時間をかけてゆっくりと休日の食事を楽しんで、室内の掃除と衣類の洗濯を分担をし終わると、二人で買い出しに出かけた。

買い物ついでに、客先との打ち合わせにも着て行けるような、夏物のスーツ、それも靴からジャケットまで、ルシフェルに見たててもらい、色違いのサイズ違いでシャツを買う。
インテリアやそれに付属したアクセサリーのデザイン制作を手掛けているだけあって、ルシフェルのセンスはずば抜けてお洒落だ。デザインだけでなく商品の素材や仕立ての良質さなど、ルシフェルの知識は広く詳しかった。
だから、仕事以外の事は、調子にのってなんでも彼のアドバイスを求めてしまう。悪いと思うのだが、ルシフェルはイーノックのコーディネートを楽しんでいるようなのでたぶん、ずっとこのまま彼に甘えてゆくのだろうな。

腕時計をちらりとみる。
うちを出て2時間近く外を歩いている。
紫外線と人ごみに弱いルシフェルを気遣って、イーノックは一服しようとスタバに寄った。
店内は休憩、待ち合わせ、歓談などに楽しむ若い男女で結構混んでいる。注文を待っている間、入れ違いに空いた席を見つけて、イーノックは先に椅子に座って待っているように席を指す。

席に着くと、日差しを遮るポジションに安心して、ルシフェルは黒いサンブラスと帽子を取り払った。シェードに隠れていた緋色の瞳がイーノックの心配そうな目と合って、細い三日月を模り微笑む。
笑顔が固いな。

「くたびれた?」

ルシフェルが頼んだ、ノンホイップモカフラペチーノを手渡し、額にかかる黒い髪の乱れをイーノックは指で梳き上げてやる。

「ありがとう、私は疲れてないよ」

珈琲豆を挽く香りの中に、ルシフェルが普段使っている整髪料の匂いが微かだが、漂ってくる。
彼の身を包む香りには、抱きしめたくなる魔法でも施されているんじゃないか?、そんな気にさせるから不思議だ。褐色の大きな手が離れようとしたスキにさりげなく捕え、ルシフェルは厚い手のひらの外側に唇を押し付け、手を離す。
大丈夫、お前が心配するほどでもないよ。
まだ、手元をルシフェルの側から戻していないイーノックに、優しい眼差しがそう頷く。

「お前は胸板があって、格闘技でもやってるみたいにスタイルがいいから、スーツを選んでいて楽しかったよ。ミルクティの色した肌に白いシャツは良く映えるし、今回選んだ最細のターコイズストライプのシャツはお前が着ると、男っぽい色香があっていい。お日様みたいなふわゆるした髪がネイビーカラーのジャケットに合うよ。また惚れ直したかもね」

テーブルに頬杖をついてにまにま、ほんわかしているルシフェルが、言い終わる前に、ストローでアイスソイラテを飲んでいたイーノックが、急にむせて咳き込む。

「ごほっ、ゲホッ、な、なにを、言い出すかと思えば、」

紙ナプキンを差し出され、口を拭ってイーノックは涙目でどこが?と納得できない顔をした。

「会社の女性たちには大きくてこわいとか、声をかけにくいオーラ出してるって、言われるんだ。私の所属は外国人の多い研究グループなのに、なんでかな。かっこいいって言ってくれるのはあなただけだよ」

涙の残るイーノックの目元を、そっと指先でなぞり、ルシフェルは触れた指を自分の唇に持って行く。
チロリ、舌先が唇の間から顔を見せ、指を舐めて戻っていった。

やらしすぎる!
さっきの手の端っこにしたキスに比べたら、その顔は艶めかし過ぎるよっ、色っぽい仕草と赤い舌もひどく扇情的で困る!

顔のど真ん中を指差され、ルシフェルはきょとんとするが、唇がぱくぱく、何か言いたそうにひらくだけで、結局何も言わず目を逸らした。はたから見ていたら、イーノックは完全に挙動不審人物になっている。

「涙の塩っぽい味する・・・、すねるお前がかわいくて、キスしたかったんだ。でも店内が混んでるからこれで我慢する。ふふ、お前がオフィスでモテ過ぎたらどうやってライバルを蹴散らすか、真剣に考えるところだよ」

「冗談ばっかりだな、あなたは」

「冗談でも、嘘じゃないさ」

ドキドキが落ち着いてきたイーノックは、テーブルの上で両手を組み合わせ、話を聞く時の癖で、左側へ気持ち体を傾ける。髪と同じ淡い金色のふさふさした長い睫が、瞬きのたびに跳ねる。腹の筋肉も逞しい大の男が、バービー人形みたいにくるんとセットされた長い睫をパチパチさせるのが可笑しくて、つい口元が緩んでしまう。あ、だめだ。笑う。

室内の照明、光の加減でルシフェルの瞳が濃い赤から鈍いさび色、淡いシェリーピンクに変化する。
先天的異常で、ルシフェルの目は虹彩と瞳孔の色素が無い澄んだ赤色をしていた。
大抵の人間は目が赤いのを好まない。吸血鬼や魔物の目といったダークな先入観があるからだろう。視力も色を見極める能力も平均値で申し分は無い。ただ虹彩だけが異常で治療して直るものでもない。いくら容姿がきれいだと言われようが、目の色一つで疎外され敬遠された。逆に同情も憐憫もまっぴらだ。
まあ、カラコンつければ誰も目の事は気にしないし、所詮は他人だからな。
他人を容易に受け入れない性格は、こんなところから始まったが、成人して年を重ねて、一層ひねてしまった。世界に1人くらい自分を分かってくれる人間がいるとか、誰かを期待するようなおめでたい性格ではなかったし、今更感があった。

神様もモノ好きなのか。悪戯スキなのか。
一生孤高と決めていた自分に、かわいい恋人を用意していたなんて。
仕事の延長で出会ったイーノックはルシフェルに出会うと、雷にでも打たれたみたいに仁王立ちになって、ぼーっと正気を抜かれた顔をしていた。

――― あまりにも美しいから、きっとあなたは前世では大天使だったんだよ。

出会って数分も経過していないのに、真顔でイーノックはルシフェルの目が点々になるような事を言った。
天使って不老不死じゃないのか?
ルシフェルは思ったが、ちゃかして上げ足を取る雰囲気ではなかった。
ただの「天使」じゃなくて、「大天使」なのはそのくらい人為を越えた美しさだから。
誰もそんな事は聞いてはいないのに。
年上のそれも30近い男に対して言うセリフかどうか、疑問があるがイーノックは超真面目だった。
天使の話題から天使に称えられる植物の話にすり替わってしまって、結局、何がいいたいのかルシフェルには分からなくなってしまったが。

時々、思い出す。
あれは、イーノックの口説き文句だったんじゃないか。
胸に秘めて時々抱きしめてみる。そんな大事な思い出の一つが、時々ふっと脳裏に浮かぶ。

「お前を愛しているよ」

うっとりと目を細め、蠱惑的な笑みをルシフェルは浮かべる。
背中がぞくりと波立つ。
朱色の美しい瞳。
イーノックの胸を高鳴らせ、甘酸っぱい恋心を募らせる。

「あなたって人は、そんな甘い顔して、人目がなかったら、押し倒しているよ・・・」

ルシフェルから目線をそらし下を向く。イーノックはもじもじ、大きな体を小さな椅子の上で、居心地悪そうに揺する。テーブルの下の足を、コツ、靴の先で蹴ってルシフェルは目配せした。

「それはおしかったな。じゃあ、買い物を済ませて、うちへ帰ろうか」

「うん、そうしよう」


ルシフェルが普段気に入っている輸入食材を扱った店へ向かう。
小麦粉の種類、野菜や果物、乳製品などの種類が豊富で、その分値段は高いがルシフェルは品物の質を優先している。

体格よく、見た目の外見からは何でも食べられそうなのに、イーノックは肉料理が全く食べられない。
幼少のトラウマ的なものがあるのか、少しでも肉の破片を口に入れると血の気が引いて、速攻でトイレに駆けこむ反応の良さ。イーノックは自分の食癖を諦めて、ボイルしたジャガイモに塩コショウ、パンと牛乳、そんな2千年も前の古代人みたいな慎ましい食事を一生する気でいた。修道僧も呆れる徹底ぶりに、ルシフェルは自分が寄り添って、頑張るところかもしれないと心を決めた。

それから独りの気ままさよりも、イーノックを思う愛が勝って、彼と一緒に暮らす事になって、具体的に野菜をメインに豆腐、甲殻類、他に乳製品を材料に料理を考える時間を1日のどこかに入れた。
持ち前の器用さと一つ一つ工程を経て何かを完成させる作業が得意なルシフェルの趣味の1つに、料理が加わった。
仕事は忙しく、ライフスタイルは変化して、たまに戸惑うが、気持ちは満ち足りて、なんでもない小さな小物、風にそよぐ街路樹にさえ、感謝をしたくなるほど幸せだとルシフェルは思った。
でもその気持ちはイーノックに伝えた事はない。いい年の男が照れくさいじゃないか。

さて、今回は何を作ろうか。
今が旬のアスパラガスの白と緑、それから切れかけていたチコリ、ナスを、買い物カートに入れた。

「ルシフェル、みて、珍しいね、アーティチョークだよ。それもイタリア産のスピノーゾ種。生で食べると美味いそうだよ」

肉より青臭い野菜を見て、嬉しがる男の方が珍しいだろう。
スマホを取り出し、ルシフェルは食材をもとに、どんな料理法があるかを検索する。

「んー、アーティチョークとビートを使ってサラダにしよう。ホタテのマリネに、玉ねぎとゴルゴンゾーラを入れたキッシュ、あとキノコを使ったパスタを作ろうか」

「わー、うまそ、私も料理頑張るぞ」

子供みたいにガッツポーズをしてイーノックは喜ぶ。
裏表のない、素直な感情をイーノックは見せてくれる。微笑ましくて、パートナーというより自分の子供みたいに思えてくる。
一緒に作るメニューを決めたら、食材を買い揃え、シャンパンやスパークリングワインが好きなイーノックのために、好みのボトルを2本求める。ベリー系のフルーツが沢山のっておいしそうなケーキもわすれずに買う。
そろそろトートバックが飽和しそうになる頃、買い物を終了させてウチへ戻って来る。


****


アーティチョークに白いナス、チコリ、ズッキーニに、ビート。ほかにはブラック人参、キューリにジャガイモ。厨房の作業台には季節の野菜が並ぶ。日本では見慣れなくとも、外国人のイーノックには馴染みのある野菜ばかりだった。

今日は久しぶりの二人そろっての休日。
急いで料理を作る理由もないから、料理を覚え始めた子供に教えるように、楽しんで調理をする。イーノックが無意識に始める、野菜のうんちくはルシフェルにはあまりよくわからないので、音楽のように聞いて楽しむ事にする。

「アーティチョークはイタリア産のものが有名だから、現地風に言えば、カルチョフィ・ピノーゾ、シャープな葉の形状と先端の鋭いとげが特徴なんだ。重なったガクをむき、中心にある花托部分とガク片の根本が食用するのが一般的で、とげなしはマモーレ、トスカーナ産の紫の濃いのをヴィオレット・ディ・トスカーナ種が食用として人気だよ。早生のピノーゾはえぐみが少なくて、ソラマメのような風味で海老芋みたいにホクホクして美味いんだ。オムレツの具でも、リゾットでも、フリットでもボイルして食べてもいい。今日は生サラダの予定?」

花や野菜の品種改良を研究しているオタク、もとい本職だけあって、野菜1つだけでこの有様だ。恐れ入るね。

「もちろん、お前の好きな甘いビートもあるから、オリーブオイルドレッシングでどうかな」

「ルシフェルが作るサラダは大好きだよ、ところで、ガクの先端は、1/3くらい切ればいい?」

自信満々のドヤ顔で刃を立てる。
ああ、よそ見しないで、ちゃんと手元をみろ。
サボテンのとげより鋭いんだぞ。

「切るのは私がやる。お前はキッシュ用の卵を3つ割って攪拌してくれ。おわったら、キノコを洗って」

「うん、了解。ルシフェルは心配し過ぎ、私だってジャガイモの皮を綺麗にむけるくらい、ナイフ操作が巧いのに」

「お前の腕前は分かってるさ、私の指示通り、さっさと作業を続けなさい」

「はい、先生」

窘められても、嬉しそうに頷いてイーノックは冷蔵庫から卵を取り出し、素直に従った。
そうして、ルシフェルの監修のもと、出来上がった料理を前に、制作者は尻のポケットからスマホを取り出して、料理の写真を撮った。画像データは、二人の共有ホルダーへストックされる。
料理に疎いイーノックが過去に作った料理画像を指して、もう一度食べたいと言えば正確に伝わる。
何食べたい?と聞かれた時、「なんでもいいよ」と絶対言わないように。これは作り手に言ってはいけない事だとルシフェルに釘をさされて以来、イーノックが頼りにしている料理画像だった。
イーノックとしては、レトルトのシチューを温めてくれるだけでも十分満足なのだけど。
これだって、言わぬが花というものだ。

シャンパンをグラスに注ぎ、ゆっくりと時間をかけてルシフェル自慢の料理を楽しむ。
皮をむいた白いアーティーチョークと濃い紫色したビートのサラダに真珠ほどのマイクロトマトが飾られている。これはイーノックが春先に客先からサンプルでもらってきた、ピンク色の極小トマトの新種の苗から結実したものだった。
みればみるほど、ルシフェルのきれいな瞳色をしていたので、一目見て気に入り、ルシフェルにプレゼントしたのだが、彼にとってはありがた迷惑だったかもしれない。

植物を育てる園芸の趣味があるわけじゃない。
たまたま、恋人がバイオベンチャー企業の社員だった。恋人の仕事だから無下にも粗野にもしない。
彼の思いやりだ。
一緒に暮らすと決めて、彼が持参した荷物に鉢植えの緑1つなかったのだから。
なのに、二つ返事でルシフェルは苗を育て、美しいルビーみたいな実を成らせた。
愚かで浅はかな、イーノックは感激して事もあろうか、キッチンハーブの寄せ植えをもう1鉢もらってきてしまった。

以降ベランダにはトマト、キッチン・ハーブ、珈琲が並び、室内の一番日当たりのいい場所には観葉植物のパキラが陣取って、総勢5鉢の大所帯を構成してしまう。貰いものとはいえ、断りきれないイーノックの優柔不断さにも腹が立ち、1m近いパキラを抱えて帰ってきたイーノックを前に、さすがのルシフェルもぷちっと堪忍袋のひもが切れた。
それから、反省しまくった成果が出ているのか、鉢は5個から増えていない。
生き物だから、成長してサイズが変わったのは言うまでもないが。
そろそろ、もっとも大きなパキラが天井に届きそうな勢いだ。

「なあ、知ってるか、お前が喫茶店の開店祝いにもらってきたコーヒーの木、あれに白い花が3つ咲いているの」

パスタをくるくるフォークに巻き取り、ぱくり。
オイルで濡れた唇が悩ましく口角を上げる。
ナイフとフォークを操るルシフェルの指先は、先端に行くほど細く整っていて、淡く桜色した長い爪にも貝細工のような光沢があって美しい。
どう見ても筆記用具しか持った事なさそうな指が、重い出刃包丁や胴長の鍋、フライパンなんか持って、玄人はだしな威力を発揮する。
ものつくりの感性がいいのだろうな。
イーノックがアドバイスしなくても、ネットから検索した知識だけで物言わぬ植物の育成までサポート出来る世話の良さ。
イーノックは驚きの溜息をつく。

「へえ、知らなかった。木の大きさから、花は来年かなと思っていた。たしか、アラビカ種だったから、成長さえよかったら再来年、自家製珈琲が飲めるかも。さっそく焙煎の仕方を調べておこう。ふふっ、わくわくする」

「くくっ、お前といると、空くじ無しの3億円宝くじを買ったみたいだ」

細長いワイングラスをそっと持ち、こくりと飲み込む。
ルシフェルはお酒には弱い方で、グラス2杯で、もう耳元が赤い。
肌が白いから、酔うと全身が八重桜の花弁みたいに染まって見える。
瞳が朱色だから、余計に色っぽくて、イーノックは飲ませたいような、飲んで欲しくないような。
彼を酔わせてしまいたい欲望にいつも戦いを挑むことになる。今のところ勝率は五分五分。すぐに突破されるダメな理性(ディフェンス)だ。

「なに、その愉快なたとえは?」

「ふふ、楽しいってことさ」

イーノックはルシフェルの言いたいことが、よくわからなかったが、
嬉しそうに微笑むルシフェルの鮮やかな笑い顔だけで、まあいいかと満足した。


****

このあとド下手描写な寝床シーンがあったので、pixiv限定で掲載予定。
とってもラブラブでいちゃこらな二人を書きたかったので、気が済みました。
どこにも二人の生い立ちは描写してませんが書かなくても設定だけはある。家の中の間取りも、周辺の地理もある。ちなみにイーノックさんは多国籍アグリビジネスを展開する世界シェア10に入る複合企業の長男て設定だった。ルシフェルさんは生い立ち謎のままでいいかな。


posted by 国東(kunisaki) at 22:25| エルシャダイSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月16日

スタイリッシュなMMDシャダイ

小話置いといて、音源&動画がとてもカッコイイシャダイ。
どうやってつくるんだろう神動画。




posted by 国東(kunisaki) at 20:51| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

ベランダ園芸の事


120515img.jpg


画像はベランダ園芸のクレマチス。一重の紫色は古い園芸種で、クレマチスといえばこの紫が真っ先に思い浮かぶ。暑さ寒さに強いので、過酷なベランダでもよく咲きますね。これで10年ほどの株です。
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拍手用リンクをブログの右サイドにつけておきながら全然管理画面を見ていませんでした。夜中や昼間に拍手を下さった方どうもありがとう。わりかし同じ時間帯なので、それぞれ同じ方かな。違っていたらごめんなさい。うれしいです。薬にも毒にもならない、愚だ愚だ内容ですが。閲覧どうもです。
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前にブラックカーネションてタイトルでエルシャダイ現代パロ小話を載せてましたが、続きのようなものを明日掲載予定。どうにもエロス&ぴろートークが上手く書けない(+_+)ルシフェルさんの美しさを表現する文句が見つけられなくて、ぐるぐるしてます。

posted by 国東(kunisaki) at 23:36| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月13日

シムネルケーキ(メタルシ+メトセラ)


5/13は母の日。今日だけ限定のGoogleの扉動画が可愛い母の日。
わふっと子供がお母さんに飛びつくっていう設定が好きなので、猶更かわいい。あんまり可愛いので、オトン(メタトロン)+母(ルシフェル)=子(メトセラ)という俺だけ設定でほのぼの妄想小話です。


****


細い剣型にくりぬいた採光窓が並ぶ白い壁面から淡く茜色の陽光が差し込んでいる。

陽光はしだいに青味を帯びて朱色からラベンダー、紺色へと変化して最後は墨を溶かした闇色になる。
採光窓にそば立つと、窓から幻想的な星空を見上げる事が出来る。
もちろん天界に季節や昼夜の概念が無い。
時間の経過を視覚的に感じられるように、メタトロンがわざわざ神の力を真似て昼と夜を擬似的に作った。
下界の自然現象が恋しいとか懐かしいとか、そんな愁傷な理由からでなく、仕事に熱中するあまり、下界時間に換算すると2,3年は机に向かい時間を忘れて会議に遅刻するという失態をたびたび繰り返したからだった。

暖かな日中の風が幾分冷たさを含み、執卓に積まれた書類の端を揺らしている。
はためく書類に気が付いて、メタトロンは顔を上げ、室内へ差し込む陽がワイン色に染まっているのに気が付く。

「おや、もう夕方か」

ペンを置き、自分の背中に両手を回す。

「あれ?メトセラ?・・・どーこ、いっちゃったかな」

メタトロンの蜂蜜色した腰まである長い髪を、ケットがわりにして背中でうとうと舟をこいでいたメトセラの気配がない。周囲を見回すと高い天井の中間あたりで、ぽわぽわ浮かんでいる黒い塊があった。

採光窓から入りこむ微風に乗ってふわふわり。
昔、書記官に召し上げられて日も浅い頃、ルシフェルが未来のおもちゃの1つだと、お土産にもってきてくれた空色の風船の束を思い出す。

可愛いなぁ・・・
人の子の姿になっても、気の塊になっても愛らしい。

昼間、突然メトセラが遊びに来てくれた。
いきなり何もないところから、わふっと現れて背中に飛びつかれメタトロンはビックリした。

―――神様が遊びにきてもいいと、僕を運んでくれたの。

何か今日はあったっけ?
逆に会議が無く閑暇だからかな。
考えるのはやめて、素直に神の御業に感謝しよう。

「メトセラ、降りておいで」

「お仕事は終わったの?」

「ああ、おわったよ」

「やた!」

ぱっと、人の子の姿の変容したメトセラが殺人的な勢いをつけて、メタトロンの顔面に飛びついてくる。

「う、ぷっ!」

首の筋肉が尋常ならない強度のある天使でなければ、即刻首元から頭が飛ばされているだろう。
そういえば、ルシフェルが美しい鼻梁を潰す気かとよくメトセラを叱っていたな。

「め、メトセラ〜これじゃ、見えないよ・・・」

人間だったら息が止まってるぞ。

「ふへへ、着地成功♪オトン大スキーー」

やれやれ。
空から飛んでくると、人の顔は捕まり易いかい。
留まられるこっちは非常にビビるけどね。
ペリペり、メトセラをはがして、腕の中へ移動させる。

「ふふっ、いつ見ても、仲のいい親子だな」

下界へ降りていたスーツ姿のミカエルが、開けっ放しの扉の前で立っている。
ミカエルは書類と重そうなエコバックを片手に下げている。
メタトロン親子が気が付くと、挨拶程度に空いていた手を目線まで上げて見せた。

「メトセラ、久しぶりだね、おいで」

手招きされて、メトセラは父を見る。
頷き小さな体をゆっくり床に降ろしながらメタトロンはちょっと心配する。
まさか、自分にしたみたいにミカエルに抱き着くんじゃ・・・

「ミカエルっ」

未来の人間界のファッションを好むルシフェルの趣味を反映してか、メトセラは洋服を着ている事がしばしばだ。今日も爽やかなペパーミント生地にチョコ色のドット模様のシャツと7部丈のブラックジーンズを身に着け小走りに駆けてくる。

ひょいと小鳥のような体を抱き上げやり、白くすべらかな額に口づける。
その様を内心、ドキドキの戦慄で見守っていたメタトロンはほっと安堵の吐息をついた。

どっきどきメタトロンを横目に、ミカエルはくくっと喉を鳴らして笑う。

「メタトロンは知っていたかい、意外と人見知りするんだよね、メトセラは」

「え、そうなのか」

メトセラが生まれた頃は、神の代理人として就任した頃と重なり慣れない上に仕事に明け暮れ、執務室にこもってばかりだった。だからほとんどメトセラの事はルシフェルにまかせっきりで、いうなれば母子家庭のような有様だったにちがいない。
おかげで今も公私共にルシフェルには頭が上がらない。
まあ、それはそれで、メタトロンには全然問題ない事情だったが。

「うん、初見は兄さんの背後に隠れて、顔半分だけ向けてくれたっけ。なかなかこれは手ごわくてね。全然なついてくれなくて、ねえメトセラ?」

物心がつく頃になると、何も知らない子供の頃の話をされるの恥ずかしい。
人間でも天使でも似たような気持ちになるようだ。
メトセラはルシフェル似の整った顔を自分の長い髪で隠しながら、ミカエルを上目見た。

「だって、知らない天使と魔物と人間はガン無視しろって、マーマが言ったもん」

「ふっふっ、兄さんらしいよ。でも、今は私と仲良しだよね」

「うん、ミカエルのぽっけ、お花が付いてる。きれいでかわいいお花のブローチ?」

抱っこされた目の先に、スーツの胸元に飾られた小花がメトセラの目を引く。

「ああ、これ?下界でもらった花だよ。今回出かけた先はイングランドという国でね、街ではちょうど母の日とイースターを兼ねた記念日、マザリングサンデイだったんだ。お祝いの日に、レモン色のレントリリー(ラッパスイセン)と、シムネルケーキを自分の母親に贈る習慣があるんだよ」

花はつぼみのついた3本を白いリボンで束ねてある。
ミカエルに手渡され、メトセラはそっと花の匂いを嗅ぐ。

「苦味の混ざった甘い匂いがする。この花を人間たちは母の日にマーマにプレゼントするの?」

メトセラが宝石のような青い瞳をキラキラさせてミカエルの言葉を今か今かと待っている。
もしかしたら、自分も人間を真似て母に贈り物をしたいのかもしれない。ミカエルは面映ゆそうに目を細め、メトセラのこめかみあたりの髪を撫でて小さく笑った。

「そうだね、イングランド周辺の国だけの行事だと聞いたよ。レントリリーではなく、カーネーションという赤い花をプレゼントする方がポピュラーだそうだけど、メトセラも兄さんに何かプレゼントしたいの?」

うるうる目をさせて期待に満ちていたメトセラが不意に俯く。二つ返事が返ってくると思っていたから、ミカエルとメタトロンは怪訝な顔になる。

「したいけど・・・何をマーマに贈ればいいのか分かんない。僕、器用じゃないし、スマホのアプリつくったり、プログラミングするくらいしか出来ないもん」

手に持っている小さな花を所在なく弄っていたメトセラの目に涙の堰が膨れ上がりついにぽろり、こぼれ落ちた。

「ケーキの材料を買ってきているから、メトセラも一緒にシムネルケーキを作る?」

「ホント?、僕もいいの?」

朱色に充血した目が大きく見開かれ、ぱちぱち瞬いた。メトセラの目元をそっと指先でなぞって、ミカエルは涙をふき取ってやる。

「いいよ、一緒に作ろう。兄さんは神に似て甘いもの好きだから、きっと気に入るさ。メタトロンもどうだい?」

「しかし、そのケーキは神が所望されての材料だったのだろう?」

「そうだけど、正確にはちがう。仕事を終わらせて今から戻ると神にメールしたら、メタトロンのところへ寄って、久しぶりにメトセラに会ってくれば?って神は言われた。最初は意味が解らなかったが、メトセラを抱き上げた時分かったよ。これはさりげない演出だとね」

花に気づくメトセラは理由を知りたがる。
問われれば、ミカエルは花の由来を話す。
その花が母の日に関連するものだと知れば、
自分もルシフェルに何かしたいと言いたがるのは明白だった。

「なるほどね。神も案外照れ屋だな。メトセラとルシフェルを喜ばせてくれるなんてね」

物事は神から知らされる事も重要だが、自分で気づく事も大事だ。
愛する人のためを思い、その相手を思って何かを作る事は
とても幸せな気分にさせてくれる。それがいつも一緒にいる、
気ごころの知れた親しいい相手だったとしても。

「では手始めに、君のウチにあるのと一緒でいいから、キッチンを創ってくれないか」

言われて、メタトロンは頷く。手をかざし、書籍や椅子といった物質を変化させ、いつもルシフェルが使っている要塞島での厨房を再現させた。

大きなオーブンレンジ、シンクの水回り。
作業用のテーブルを用意して、最後に漆器棚や冷蔵庫までも現れる。

「おっと、冷蔵庫まで忠実でなくてもいいよ。さて、二人ともエプロンをしたほうがいい」

いいながら、上着を脱いでミカエルはどこからか白いふりふりのついたかわいいエプロンを持ち出し首にかけ、手際よく準備をしている。長い髪をまとめ上げている様はどうみても初心者ではない。

メトセラに自分と同じ、セピア色の簡素なエプロン(サイズ違い)をつけてやっている最中、ミカエルの手際のよさにふと思う。

「つかぬことを聞くが、あなたはしょっちゅう料理をしてるのか?」

ぎくっ、
振り返り、ミカエルは苦笑した。

「まあ、たしなむ程度にね。理由は聞かないでくれ。分かるだろう、この材料で察してくれよ」

作業台に、小麦粉二種類、茶色い色した砂糖、バター、半端なく大量のドライフルーツ数種類。卵やミルクや他にもメタトロンが見たことのない材料が整然と並ぶ。

「メトセラには背が足りないだろうから、このお立ち台にのってミカエルの手伝いをするといいよ、ちょっと乗ってみて、足りなかったら作りたすから」

20cmほどの足台を作って、メタトロンはテーブルのすぐそばに設置する。上に乗ったメトセラにちょうどいい高さのようだ。

「ありがとう、オトン、じゃあ僕は、何をするの?」

ラム酒をボールに注ぎ入れていたミカエルが、計量機を指差し教え子を前にした教師のように微笑んでいる。

「私が言うとおりに材料を正確に測ってくれるかい。左から小麦粉80g 強力粉50g ブラウンシュガー120g バター125g・・・」

「はーい!」

嬉しげな返事を聞いただけで、メタトロンの心は浮き立つ。
メトセラは嬉々として自分の頭ほどのおおきさのプラスチックのボールを計量機に乗せ、デジタル計のメモリをゼロにして白い小麦を注ぐ。

メタトロンの知らないところで、ルシフェルの手伝いをしているのだろうか。
そのくらい手つきに迷いがない。それとも、記憶力のいいメトセラはどこかでケーキ作りのレシピでも見て覚えているのか。
ぼーっとつったっているメタトロンに、ミカエルはメトセラが計量したボールの一つを突き出した。

「暇なら、そのバターをこの攪拌機でかき混ぜてくれ。クリーム状になるまで練って、色はミルク色っぽい感じがポイントだよ」

「了解したよ」

テーブルをはさんで向かいの椅子に腰かけ、メタトロンはもくもくと攪拌機で掻きまわす。
その勤勉な姿を横にみてミカエルはそうだったな、と思い出す。電動攪拌機という便利な道具があるのを教えてやればよかったかな。まあいい、腕力なら捨てるほどある男だ。

「はーい、ミカエル先生、全部計量できましたっ」

オーブンの温度を設定し終わったミカエルが、透明なビニール袋を持ってメトセラの前で広げる。

「この袋の中に小麦粉と強力粉をそれぞれ個別に入れて。そうそう、上手だな。終わったらしっかり袋の口を閉じてくれ」

「わかった、ふるうんだね。マーマも同じことするよ。空気を入れるとふっくらするんだよね」

シャカシャカ、袋をゆすり粉をミキシングさせていいる。

「よく知ってるな。メトセラはルシフェルのお手伝いをするの?」

「へへ、自立に自炊は絶対だって」

得意げに自立と答えるメトセラは、意味分かっているのか激しく疑問だ。
メトセラがかわいくて仕方ないルシフェルに子離れなんてできるのか。
堕天は出来ても、神に反旗を向けても、絶対無理だろう。
想像したらおかしくって、つい笑い声が止まらなくなった。

「ぷ、ぷぷっ、くっくっ」

「なんだ、メタトロン。そのいやらしい笑いは。メトセラに失礼だろ」

「そうだよ、オトン。どーせ僕がキーボード叩く以外、なーんにも出来ないぶきっ子だって笑ってるんでしょ。もうケーキ出来上がっても味見させないよ」

「ゴメンゴメン、メトセラさん申し訳ありません。オトンを許してください。くくっ、バターはこんな感じでいいでしょうか、ミカエル先生」

まだ口元が笑っている。
人間でもないメトセラの自活を、妄想して笑うのは面白くて笑う気持ちも分かるが、笑い過ぎだぞ。
メトセラがすねて、ぷんすかそっぽを向いている。

「まあまあだな。悪いと思うなら次は胡桃とアーモンドを割って、干しブドウと同じサイズに小さく砕いてくれ」

「了解しました」

胡桃を掌に握ると鈍い音と同時に殻が砕ける。
殻から実の塊をもう一度手に乗せ、軽く握りさらに小さく砕いている。
力仕事なら、メタトロンに任せれば適任だ。
大きな厚い手をしている。
武骨で温かで、かざりっけのないメタトロンのたなごころ。

あの掌で、兄は優しく撫でられ愛される。
白い肌を朱色に染めて、彼に愛される歓びを、蕩けるような声でもって甘受する。
その結果、二人が授かったものがメトセラだ。
同じ熾天使で双子なのに。
なぜ?
神もメタトロンも兄を特別視するのか?
考えると胸の中をチリチリ突き刺さす、とげ状の何かを感じて、
ミカエルは脳裏から振り払うように首を左右にふった。

ザザっ・・・・・、

反動で、ドライフルーツの入った袋がテーブルから床に落ちて散らばる。

「おっと、すまない」

「へーき、僕に任せてっ」

躊躇して体をかがめたミカエルより先に、フルーツの袋を床より引き寄せ、メトセラは腕を伸ばす。
乾いた小気味のいい音と同時に、散らばった小さな欠片は袋の中へ収まる。落ちる前の時間へ戻された。
365年の旅の途中、命が尽きて倒れたイーノックを、元へ戻したルシフェルと同じ仕草でメトセラが指を鳴らす。
あぁ、そんなところまで、遺伝子や力は受け継がれるのか。
茫然とした表情で身動きしないミカエルに、二人は小首をかしげる。

「ミカエル?どうしたのか」

メタトロンが心配そうに問う。

「あ、いや、ごめん。材料を買い忘れたかと思って、考えこんでいたんだ。すまないね、さあ続けようか」

「ミカちゃん、大丈夫?」

神が親しげに呼ぶ、ミカエルの愛称だ。
その口調を真似て、メトセラが顔を近づける。
なぜ、そんな真似を?
否、問うのはよそう。
自分がもっとも愛している神の真似をする。そうすることで落ち着き、我に返る。
なんて細やかな気遣いするほどメトセラは優しい。

「ありがとう、大丈夫だよ。さ、てきぱきしないと夜になる。マザリングサンデイが終わるだろう?」

よしよしとメトセラの頭を撫でてやり、ミカエルは屈んだ姿勢をすっきり伸ばし立ち上がる。

「うん、つぎはどうすればいい?」

「メタトロンがかき混ぜたバターの中に溶き卵を入れる、そして砂糖だ。私が攪拌するから、メトセラは卵を3回に分けてそそいでくれるかい」

「はーい」

「私は?」

メタトロンが自分の鼻を指差して、暇そうな顔をしている。

「ケーキ型にバターを塗ってくれる?分かるかな、薄くでいいよ。指の腹を使って伸ばす。大丈夫かな」

「だ、大丈夫だ、も、問題・・・が、がんばるよ。うわーーっ、バターが全然伸びていかない。均等に塗るって難しいな。これじゃ書記官の仕事の方が楽だな」

メタトロンは、ぶつぶつ愚痴りながら、バターを塗っている。

「オトンは意外とおしゃべりだよね」

「そういわれれば、よくしゃべるな、仕事中はむっつりだけどね」

メトセラと一緒に目配せして笑いあう。
生地はちょっと硬いかな。メトセラが混ぜた卵も均等な混ざりではない。
初めて作るケーキだったら、メトセラが下手なのは当たり前だ。
独りで作る方が、段取りも効率も断然いいのは最初から分かっている。
ミカエルが最高の腕前で、美しく出来上がったケーキは神が味を楽しんでおわりだけれど、作る楽しさは、誰とも分かち合えない。
独りで作っている最中、胸の内側に溜ってゆく寂しいようなむなしいような、ぽっかりした空洞を、メトセラとメタトロンがぶきっちょながらも、甘い心地よい生地で埋めてくれる。

じんわり、温かくて。
こういうのも、いいな。

「さて、さいごの仕上げだよ。この黄色いマジパンを麺棒でのばして11個に分けて、丸く球形にするんだ。
なぜ11個かって?母の日とは関連が薄くなるから割愛するが、人間に親しまれている聖者たちの人数さ」

「ふーん・・・、そうなの」

メトセラの生返事が返ってくる。
さしてケーキの形や、意味にこだわりのないメトセラは、手の平で一生懸命に丸めている2センチほどのサイズのマジパン球作りに、神経を集中させている。

ケーキ型に生地を流し込み、オーブンで焼いてケーキ本体を作る。
それを薄く伸ばしたマジパン生地で包みこみ、マジパン球を円形のふちに均等に飾る。
再びオーブンで焼いて完成。

「レモン色のケーキだね。かわいいっ」

オーブンから取り出された出来立てのケーキ。
ナッツとフルーツ、そしてラム酒が香る素朴なケーキが出来上る。

「なかなか、上手にできたね。二人ともご苦労様」

粗熱を取り、それをケーキ箱へ詰めて梱包する。

「これを持ってお帰り。兄さんと一緒に味見したら感想をメールしてくれるかな」

手渡された箱はメトセラの顔が隠れてしまうほど大きい。
大きいケーキだから、母と神様のために半分このつもりでいた。

「でも、僕が貰ったら、神様の分がないよ」

エプロンをはずして、ゆいあげていた髪を元へ戻す。
ミカエルにしては珍しく、妙に悪戯っぽい笑顔で、当然だよと答えた。

「君のために、私は一緒に作っていたんだよ。そうだね、君のサポート役って感じかな?」

「あ、りがと、ミカエル」

嬉しくって感激してくる。
振るえる小さな両手で、メトセラはテーブルにケーキの箱をそっと置く。
片付けを始めているミカエルの腰に、わしっとしがみつき、メトセラはぐしぐし顔をゆがませ泣き出した。

「僕、嬉しい・・・」

「ほら、泣かない。兄さんに自慢すればいいよ。これだけ作れたら「自立」できるんじゃないかな?」

天使のジョークは純粋すぎてきつい。
そんな事をメトセラがルシフェルに言ったら、怒りだすか泣くぞ。
特設調理会場をいつもの執務室に戻しながら、メタトロンはすこし心配する。

そういえば、ルシフェルに遅くなるからと連絡をいれていなかったな。
しまったな、これはやばいな。

メタトロンの心配をよそに、メトセラはすこぶる機嫌がいい。
背中から無数黒翼が飛び出している。

「また、遊びにおいで」

大事に抱えたケーキの箱を胸にだいて、父にだっこされたメトセラは
はーいと元気のいい返事をしてミカエルと別れる。


***

「マーマ、ただいまっ」

要塞島へ戻って来たメトセラが、わふっとルシフェルに飛びつく。
それも顔面、正面から抱きつく豪快さ。

「うっぷ、遅いぞ、こんなとっぷり日が暮れて帰ってくる奴があるかっ」

いつもなら、「私の美貌を破壊する気か」とか、「高い鼻梁を潰す気かっ」て怒るくせに。
今日はメトセラの帰宅の遅さを叱るのが先だった。
それだけ愛にあふれているんだろう。
細すぎる腰に手をあて、怒る姿は雄々しくて美しくて、それ以上に慈愛で満ちている。

「えへーー、マンマの日プレゼントを作っていたの。ミカエル先生に教えてもらって、オトンと一緒にね」

「はぁ?」

ぽかんとしているルシフェルに、メタトロンはにっこり微笑む。
持っていたケーキの箱をメトセラに手渡してやると、ようやくルシフェルは状況を飲み込んだらしい。

「お前が、ケーキを?」

「うん、シムネルケーキだよ」

人間界の事情に詳しいルシフェルはケーキの名もその由来も皆知っている。神が昼間にいきなり現れ、たまにはオトンの仕事場を見せてやれば?と強引に連れていった意味も。
今はしっかり理解した。
神め、こしゃくなマネをしてくれる・・・

「マーマ?」

ルシフェルに差し出されたケーキの箱はメトセラの手から動かない。
不安に感じて、眉をひそめる吾子に、ようやく気が付いたルシフェルは
メトセラのおでこにちゅっとキスをして完璧すぎる美貌を花のように綻ばせる。

「嬉しいよ、メトセラ。例えるなら、メタトロンにプロポーズされた時よりうれしいかも」

「えーーーっ、ルシフェル、それはないよ〜、ないってば〜」

そんなたとえ、あるか?
意地悪な事を言わせたら、ルシフェルの右に出る天使は無い。
まさか不器用なメトセラがケーキを作れるとは彼も想像もしていなかっただろう。
照れと感激で今にも泣きそうな顔を怒ってごまかしている。

「素直に嬉しいっていえばいいのに、照れ屋だな」

「うるさい、遅くなるって、私に連絡してこないお前に意地悪をしているんだ」


目元を赤く潤ませて、意地悪そうに笑うルシフェルに
メタトロンはやれやれと肩をすくめ苦笑した。




おわり

posted by 国東(kunisaki) at 22:31| エルシャダイSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月12日

連休中の小話


今頃ですが、連休に北海道へ出かけた。
毎年1度や2度は積丹半島や礼文島へウニ丼を食いにいったり、厚岸でカキを食いに入ったりして、たぶん10回は北海道へ行ってるだろうな。ぴゅっと飛行機に乗って飯食って帰るような手軽さで行く北海道。今回道内の人でもあまり知らないだろう標津町のチミケップ湖のホテルに泊まった。うはーーーーーーどこ見ても自然しかない。ぼやーーっとデッキで本読んでたまに餌台にやってくるエゾリスをみたり。連休にもかかわらず宿泊客は自分たち以外4人のアットホームさ。肉料理がまったくダメだったので、別メニューで料理を作ってくれてほっとした。画像は最後のスイーツ。料理はどれも凝ってて大変美味いのに1品、それぞれの量が多かったので、もういいよ・・・5品も食べれんて。ひっそりとゆっくりしたい人におすすめ。
120511-img.jpg



それから、気に入りの温泉を3つ。
十勝地方・大樹町の晩成温泉はヨードが含まれる茶色い温泉。
帯広・北海道ホテルのモール温泉これも茶色い温泉
稚内市にある豊富温泉黄色っぽいような茶色のフロで石油っぽい匂いが特徴。
ほかほかつるつるでアトピーやら皮膚疾患のある人におすすめな温泉。



posted by 国東(kunisaki) at 00:15| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする